【Tech.st株式会社】“商店街を地域の名所に” IT化を見据えて1歩ずつ進める歩み
Tech.st (テクスト)とは
Tech.st (テクスト)株式会社の代表をしている村松と申します。大学を卒業した後、大手のコンサルティング会社に就職して、そこで主に中小企業向けのコンサルティングを行っていました。その会社には約2年半勤めた末に退社し、その後、独立をして株式会社One Createを共同代表と一緒に設立しました。そして現在、Tech.st 株式会社を設立して代表を務めています。
----業務内容について教えてください。
「地域活性」というキーワードが1番わかりやすいと思います。2019年8月、One Createの時代から私がメインで担当しているのは「商店街の活性化」になります。商店街を活性化させるに当たり、若い人をどのように呼び込むかを考えました。その結果、当時原宿で流行っていたタピオカ屋やレインボーフード、チーズドックなどの店を商店街の空き店舗に誘致し、3連休などの休みを利用して集客する「原宿化プロジェクト」というイベントを行いました。
幼い日の記憶を辿って
私は群馬県の田舎の生まれで、4〜5歳の頃に地元の商店街でコロッケを買った記憶が鮮明に残っています。現代のZ世代(※1)はインターネットが発達した反面、リアルを体験しづらい環境になっていると思います。そのような記憶が背景となり、生まれ故郷でのリアルな体験を大事にしてほしいという想いから商店街に着目しました。
地方の商店街は、若い人が特に立ち寄らない傾向があります。しかし、原宿化プロジェクトのおかげで若い人が通う場所になりました。そのイベントを通して商店街の方達が感銘を受けてくれたんですよね。そこからずっと商店街の活性化に携わっています。
(※1)Z世代とは、 1990年代中盤から2000年代終盤までに生まれた世代のこと。生まれながらにしてデジタルネイティブである初の世代である。
商店街の課題
人材不足、後継者不足、高齢化、交流不足、IT化への遅れなど、商店街には多くの課題が存在し、それぞれが複雑に入り組んでいます。何かひとつに取り組んだとしても、それが活性化に繋がるとは限りません。
私たちが取り組んでいる事業は大きく2つになります。
1つ目は「多世代コミュニティの創出」
スーパーマーケットのメジャー化によって、商店街におけるリアルなモノの売買は成り立たなくなり始めています。オンライン上での課金、ECサイトを使った物品販売など、コミュニティを作って売買を活性化していく必要があると思っています。
2つ目は「商店街IT化、DX化に伴うデータ活用」
都市部のDX化(※2)に際し、データを扱うことのできる人材を育て、店舗さんとマッチングすることを考えています。実際にノーコード(※3)を学習することで比較的簡単にサイトを作ることができます。商店街では空き店舗を利用して、ノーコードを学ぶことができる場所に、さらに実証実験として継続的に働くことができる場所にしていく予定です。
(※2) DXとは、進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること
(※3) ノーコードとは、ソースコードの記述をせずにアプリケーションやWebサービスの開発ができるサービスのことです。
先行する想いと地域の摩擦
現地に住む中高生は、自分の地元にあまり興味がないんじゃないかと思います。
実際に私が携わっている大分県竹田市は城下町で温泉があるのですが、現地の高校生は興味を持っていない様子でした。だからこそ、新しいものや外部のもの (原宿化など)を取り入れることによって、私の想いと地域の需要を合致させていきました。
----自治体や商店街の方と「考え方」にギャップはありましたか?
ノーコードについてなかなか理解してくれませんでしたね。
まずどんな事例があるのかを求められました。成功例があった方が踏み出しやすいことは十分理解しているのですが、良いスピード感で動くことができず、もどかしい気持ちになりました。しかし、竹田市は私たちの考えを受け入れてくれました。竹田市で商店街の活性化が成功すれば、今後示すことができる事例になりそうですね。
----挫折した経験はありましたか?
商店街というフィールドを選んだことで、まず挫折しました。商店街は市場規模が小さい上に、新しい取り組みを通して良くしていきたいという気持ちをなかなか理解していただけなくて、どうしたら良いかなという気持ちになりました。
----何がきっかけでそれらの問題を突破していったのでしょうか?
人との繋がりが増えていったところからでしょうか。人から紹介していただいたり、その紹介から仕事に繋がったり、1歩1歩地道ですがその1つひとつが実になって、竹田市進出に繋がったのかと思います。
商店街を「名所」にするために
また、旅行の目的として「商店街に行きたい!」というニーズを作っていきたいんです。例えば、魅力的な温泉を目掛けてその地域に赴くように、商店街に行ってみようと思ってもらえるような魅力的なコンテンツを作りたいです。
これからは地方でも東京を抜いて世界と戦えるようにしたいです。世界に遅れをとっている日本、さらに遅れている地方。という図式を壊していきたいと思っています。
これから立ち向かう壁、そして後輩へのメッセージ
これもまた、人脈かなと思います。これからの商店街プロジェクトを全国へ広げていくための人脈、世界へ広げていくための人脈、この2つが課題だと思っています。
ただ本当に、地域活性に関わっている人はみんないい人なんです。会社なので当然のことかも知れませんが、利益優先で考える会社や人がいる中で、彼らが1番に考えるのは相手やパートナーのことです。こちらが誠意を込めて対応していれば、仕入れたい情報があったときに助けてくれるんです。
----就活生、学生に向けたメッセージ
Tech.st株式会社 代表取締役 村松秀樹